「地域活性化ってなんなんだろうね」
高校生のころ、友人が地元についての小論文を書いていたことを、いまでもぼんやり思い出します。
確かその友人は、「地元とは自分が愛着を持てる土地」というふうに定義していて、当時の私にとっては新鮮でした。
地元の沖縄を離れ、茨城大学に入学してはや3年。
18年間ずっと沖縄に住んでいた私からすると、茨城は色が淡くて穏やかに感じます。
他にもたくさんの違いがあるのですが、中でも印象的なのは、
茨城に来てから「地域を活性化しよう!」というフレーズをしきりに聞くようになったこと、でした。
東京に対しての劣等感(?)を持っている人もいる一方で、茨城ブランドを発信しようと活動する人たちもたくさんいることが、だんだんわかってきたんです。
沖縄は、わざわざ活性化と言わなくても、特徴が際立ちすぎていて既にブランディングができています。茨城をけなすつもりはないけど、感覚としてそんな感じ。
ただ、活性化しよう!とがんばる人たちがいること自体私はいいなあと思っていて、立地に恵まれた沖縄より、茨城の方がその熱量は高いかもしれません。
そして「地域を活性化しよう!」というフレーズと同時に、「地域活性化ってなんなんだろうね」という問いも、よく耳にします。
私の周りで地域活動をしている学生も社会人の方も、そう悩んでいる人は少なくないんじゃないかと感じます。
だけど私自身は「めちゃくちゃ茨城を元気にしよう!」と気合を入れているわけではないので、もっとゆるゆるとした気持ちでいます。
「その地域のことをなんとなく好きになる人が1人でも増えれば、活性化したってことでいいんじゃない?」と。
特に私のような、それまで何の縁もなかったよその人が居心地よいなあと思える地域って、わりといい感じなんじゃないでしょうか。
他府県と比べて圧倒的にすばらしい景色や食べ物やレジャー施設はあってもなくてもよくて。
たまたま行った小さなパン屋さんが気に入ったとか、その土地で出会った人たちが偶然親切にしてくれたとか、その程度でいいんじゃないかって。
住んでいる人が満足できる要素は、茨城にたくさんあるんじゃないかと思います。
特に私がいま住んでいる水戸は飲食店が多くて、さらに大学近くのお店は、安くても美味しいところがたくさんあります。
日常の中で足を伸ばせる範囲に、そういう満足ポイントが散りばめられていると、結構楽しく過ごせるんです。
そんなお店たちを訪れてほしくて、いま、イベントをお手伝いしています。
茨大バー・バル・バール。茨城大学周辺で食べ歩きをしようというイベントです。
もともと水戸駅近辺で行われていた飲食イベント「水戸バー・バル・バール」を、大学周辺でもやってみよう。
そんな感じで始まって、利益を出すというよりそれこそ地域を活性化することを目指して、学生メンバーが運営しています。
私はおもにパンフレット制作に携わりました。お店の取材に行くときは正直、迷惑がられないか心配だったんですが。
反対に「毎年やってくれよ!」とおっしゃる店主さんの言葉に何度も安堵して、やっぱり街全体に「地域を元気にしたい」って意気込みがあることを実感しました。
もちろんすべてのお店にお願いできたわけではないので、次回はもっと輪を広げて、そうしてイベントが定着したら素敵だなあと思っています。
冒頭の友人の小論文は、
「地元とは自分が愛着を持てる土地。だから地元がたくさんある人もいるし、反対に地元がどこにもない人もいる」という展開でした。
茨城に移り住んで来た人、もともと住んでいる人、またはいま住んでいない人も。私が大好きな茨城大学周辺を、これを機に「その人にとっての地元」の1つに加えてもらえたらな、と願っています。